気配り上手

「仕事上手は気配り上手」と言われるように、仕事においての気配りはとても大切なことですが、自分ではきっちりと気配りをしているつもりでも、それが反対に空回りすることもあります。

 

また女将の気配りともなると、旅館全体の満足度に直結してきます。

女将から直接聞いた気配りの極意について書いてゆこうと思います。

 

◇気配りのコツ1

まわりが気づかない「さりげない気配り」が極上の気配り

「私は気配りができる」「気が利く人なんです」と強調するような目立つ気配りは、かえって相手を緊張させてしまいます。それでは、相手が居心地悪く感じてしまうでしょう。

例えば、座敷で正座をしている人が辛そうにしている場面を考えてみましょう。「どうぞ楽にしてください」と声をかけるのも気配りの一つですが、もしその人が取引先の偉い人の前に座っていたとしたら、声をかけられても簡単には脚を崩すことができません。

そんな時、ある女将は薄手のクッションをそっとひざの後ろに差し出すそうです。それも、取引先の人に気づかれないようにタイミングを見計らって行います。こうすることで、その人は取引先の人に気を使うことなく楽になります。このように、相手が自然に受け入れられる配慮こそが、質の高い気配りと言えるでしょう。

 

◇気配りのコツ2

半歩先を整えるのがスマートな気配り

相手がたばこを吸おうとする時、どう対応するべきでしょうか。すかさずライターを差し出すのも一つの気配りですが、相手が既にライターを持っているなら、それは過剰な気配りになります。

これは、気配りの押し売りと言えるでしょう。むしろ、机の上にある灰皿を使いやすい位置にさっと動かす方がスマートです。これが、相手の行動の半歩先を読み、その人がスムーズに行動できる環境を作るという気配りです。気配りには、先を読む力も必要なのです。

 

◇気配りのコツ3

相手に「お気遣いなく」と言わせる気配りは社交辞令

取引先を訪問して応接室で待つとき、「なにかお飲みになりますか?」と聞かれることがあります。しかし、多くの人は「お気遣いなく」と答えるでしょう。この「なにかお飲みになりますか?」という気配りは、本当の気配りではないと女将は言います。

相手の希望に沿った飲み物でもてなしたいなら、「飲み物をお持ちしますが、温かいものか冷たいもの、どちらにいたしましょう」、「コーヒー、日本茶、ジュースがご用意できますが、お好みは?」といった具体的な提案をするべきです。相手が自然に「○○がほしい」と答えられるようにすることが、真の気配りなのです。

 

女将にはいつも大切なことを教わっています。

ありがとうございます